顔も肌も早く老ける原因は何とカルシウム不足

By saraswati, 2014年12月2日

カルシウムは細胞を活発に働かせるスイッチ役

カルシウムが不足すると細胞は衰え、老化が加速します。

とにかく日本人にはカルシウムが不足している。
厚労省の栄養所要量調査でも、いつもカルシウムの摂取量だけが足りていないのです。

牛乳も飲んでいるし、ヨーグルトも食べている。では何故いつもカルシウム不足が指摘されるのか?

カルシウムの役割、最高の補給方法についてもご紹介します。

~ 武蔵野女子大学教授 栗原文男 ~

カルシウムは細胞の中に入り込んでスイッチを入れる。

実年齢は同じでも、見た目が老けて見える人と、若く見える人がいます。その原因はさまざまなことが考えられますが、実はミネラル(無機栄養素)のカルシウム不足も一因になっているといったら、みなさんは驚かれるのではないでしょうか。

カルシウムが不足すると、骨が弱くなり骨粗鬆症(骨がもろくなり骨折しやすくなる病気)を招きやすくなるということは、よく知られています。

確かに、人間の体内のカルシウムは、98%が骨に含まれていて(残り2%は歯や血液、細胞などに含まれる)、骨の健康に欠くことの出来ない成分です。しかし、カルシウムの働きは骨の強化だけではありません。カルシウムは、全身の細胞を活発に働かせるという、極めて重要な役割を果たしているのです。

簡単にいうと、カルシウムは、全身の一つ一つの細胞の中に入り込んで、その細胞が活発に働くように指令を送り、細胞の活動を開始させるスイッチを入れるという役割を担っているのです。

カルシウムは、ふだんは細胞のまわりにある細胞外液に含まれています。そして、細胞の活動を開始させるときになると、カルシウムは細胞の中に入って酵素(体内の化学反応を助ける物質)と結び付くことで、細胞の活動のスイッチをオンにします。その後、カルシウムが酵素と離れるとスイッチはオフになり、カルシウムは細胞から出て行くのです。

このとき、細胞の中に入るカルシウムはたった一個だけです。しかも、このカルシウムが細胞の中に入ってから出ていくまでの時間は、わずか0.1秒(脳の細胞の場合は0.0001秒)という短さです。

このように、私たちの身体に60兆個もある細胞は、カルシウムがスイッチを入れる事によって活動を始めるのです。普段、なにげなく歩いたり食事をしたりするという行動も、カルシウムなしには出来ないというわけです。

カルシウムが増えすぎた細胞は死滅する

では、身体に欠かせない働きをしているカルシウムが不足すると、どうなるのでしょうか。

体内のカルシウム不足は、血液中の細胞外液の中に含まれるカルシウムが減少することで脳に察知されます。すると、脳は副甲状腺ホルモンの分泌を増やします。副甲状腺ホルモンは、まずカルシウムの貯蔵庫である骨を溶かして血液中のカルシウムの濃度を高めます。

次に少なくなったカルシウムを確実に細胞の中に摂り入れようとして、副甲状腺ホルモンはカルシウムが入る細胞の入り口を広くします。その結果、細胞の中には、たくさんのカルシウムが入り込むようになります。

本来なら、細胞のスイッチを入れるためにカルシウムは一個だけが細胞の中に入り、0.1秒で外に出て行きます。ところが、細胞の中に大量のカルシウムが入ったままになるため、細胞はスイッチが入りっぱなしの状態に置かれてしまいます。

すると、細胞は本来の活動ができなくなって、次第に衰えてきます。そうした状態がさらに続くと、細胞の中でエネルギーを生み出しているミトコンドリアが疲弊して、ついには細胞が死滅するにいたります。こうして、全身の老化が早まるのです。

カルシウム不足が老化も病気も招く犯人

以上のように、体内のカルシウムが不足すると、骨のカルシウムは減って血液中や細胞の中のカルシウムが増えてくることを、専門用語でカルシウム・パラドックス(カルシウムの逆説)と呼びます。このしくみが老化ばかりか、さまざまな生活習慣病を招く犯人であることが、最近の研究で明らかになっています。

カルシウム不足は骨量不足に陥りやすい中高年だけに起こるわけではありません。最近はむしろ若い人、特に若い女性に目立って増えてきているので注意が必要です。

例えば、肌荒れや吹き出物などの肌の不調に悩んでいる人は、カルシウム不足の疑いが濃厚であるといえます。なぜなら、カルシウム不足で肌の細胞の新陳代謝(古いものと新しいものの入れ替わり)が衰えている現れといえるからです。

この記事をよく読んで、カルシウム不足を早く見つけて、その解消に努めましょう。